ZERO/SPORTS から、スバルのターボ車用として今までにない全く新しいエンジンオイルを
現在開発中との情報が入り、さっそく 当 IMPREZA-NET でも徹底検証してほしいとのことで、
評価テストを行うことになりました。
話によると、エンジンの性能を最大限に引き出す高性能エンジンオイルのようです。
特に気になるお話として、
「 パワーも変わるから、是非、パワーチェックを行ってみて下さい 」
と言われていましたので、もうこれは試す前から期待大です!!
▼ オイル交換風景
↑ オイルの色は、こんな感じです〜
見た感じは普通のオイルと変わりませんね。 どれほどの効果があるか、楽しみです!
▼ 新開発エンジンオイルのスペックなど
今回評価テストを行うエンジンオイルは、手元の資料によりますと、以下のようなスペックです。
|
名称 |
開発コードネーム : OT2
( 正式製品名 ZERO SP ) |
|
|
対象 |
スバル水平対向ターボエンジン用 |
|
|
SAE粘度グレード |
10w−50 |
|
|
APIサービス分類 |
SL ( 現時点での最高グレード )
発売時は時期規格SM?をクリアの予定 |
|
|
粘度指数(VI) |
158 |
|
|
動粘度(mm2/s) |
40℃ : 134.7
100℃ : 18.32 |
|
|
流動点(℃) |
−50 |
|
|
密度(g/cm3) |
0.885 |
|
|
基油 |
エステル系 ( 100%化学合成油 ) |
|
|
使用用途 |
一般走行からサーキット走行
( GT選手権のようなレース活動は含まない。 ) |
|
|
|
|
|
※ APIサービス分類とは…
エンジンオイルの品質・性能の目安として、
・ アメリカ石油協会 ( API )
・ アメリカ自動車技術者協会 ( SEA )
・ アメリカ材料試験協会 ( ASTM )
が協力して定める品質規格です。
現在のガソリンエンジン用最高グレードは 「 SL 」 。
オイルの本質である潤滑性能は言うまでもなく最高水準であり、そのほかにも省燃費性、
酸化安定性、オイル消費防止性にも優れているオイルに与えられる称号と言っても良いでしょう。
なお、このSL グレードは 2001年 7月 から制定された最高グレードで、近い将来さらに上の
SM?グレードが出てくると予想されます。
細かい数値については判らないけど(笑)、まあ、逆に言えば、数値でオイルの質を捉えるのは
難しいことだしね。
ある意味、粘度とかの細かい数値を書いても、なかなか雰囲気を伝えられないと思いますが、
厳しい規格として存在する 「 APIサービス分類 」 の中の現時点での最高グレードのオイルであり
今後制定すると予想される 「 さらに高水準な規格 」 をもクリアする実力を備えたオイルだと言えば
少しは感じが掴める事と思います。(^-^)v
■ ZERO/SPORTS からのコメント ( ZERO/SPORTS の青木氏より )
特に 「 スバルインプレッサターボ 」 のエンジンスペックや、スポーツ走行を中心とした使用目的に対し
理想的なエンジン環境をつくりだすために開発したエンジンオイルです。
エンジンオイルの役割としては主に、潤滑、応力分散、冷却、密封、防錆、洗浄などです。
応力分散とは、クランクシャフトなどの軸受け部分でオイルの膜に回転軸が浮いているような状態で
瞬間的に大きな荷重がかかった時にオイルが荷重を分散する能力のことをいいます。
粘度の低下が少なく、ターボのような400℃以上にもなる高温部があってもスラッジの発生が少なく
燃料混入による希釈や高温時にも油膜を保持でき、フリクションが少なくて燃費が良い。
このような条件をクリアする為にベースオイルにこだわっております。
オイルが使用時間の経過とともに粘度が低下し劣化するのを防ぐ為にも添加剤に頼るのではなく
ベースオイルで可能な限り達成させています。
このため、初期の粘度低下は最小限にとどめ、その状態のまま使用することが可能となっています。
この厳選したベースオイルに、「 今はまだ秘密の特殊素材 」 を特殊技術によって配合し、
レスポンスだけでなく燃費の向上も狙える理想的なエンジンオイルとなっています。
※ 今はまだ秘密の素材 → 発売時に発表があると思います(^^ゞ
▼ オイルの比較
↑ ZERO/SPORTS 新開発エンジンオイルの 「 OT2 ( 開発コードネーム ) 」
触った状態は粘り気が強く、上の写真のように軽く糸を引く感じだ。
↑ ガラス板の上に1滴ずつたらして、ガラスを斜めに傾けたところです。
左側が、今まで使ってきた MOTUL オイル ( 10w-40 )
右側が ZERO/SPORTS 新開発エンジンオイルの OT2 ( 10w-50 ) 。
MOTUL は柔らかくてサラッと流れましたが、OT2 は粘ってなかなか流れ落ちません。
粘度グレードの数値より、実際ではそれ以上の違いを感じさせますね。
▼ 今まで入れていたオイル ( MOTUL 10w−40 )
↑ アイドリング時、油温 70℃ で、油圧が 2.8kgf/cm2 です。
このまま油温が上がっても、だいたい 1.8kgf/cm2 前後をキープします。
柔らかいわりには、しっかり油圧があるのが特長とも言えるでしょう。
▼ ZERO/SPORTS 新開発エンジンオイル ( 10w−50 )
↑ アイドリング時、油温 70℃ で、油圧が 4.8 kgf/cm2 。けっこう固いですね〜
油温が 100℃ に近づいても、2.0 kgf/cm2 ぐらいをキープしています。
▼ メカニカルノイズの比較
ある程度、入れる前から予想できていましたが、「 OT2 」 のほうが粘度の高いですので
細かなメカニカルノイズが消えて、静かに回る感じがしますね。
まあ、一般的には粘度の高いオイルを入れるとノイズが軽減される傾向にありますが、
このオイルは粘度の高いオイルでありがちな、「 重たい感じ 」 がないので、エンジン自体は
とてもスムーズに回っていて、その結果として静かになったような感じがしますね。
▼ パワー計測
実際にパワーを測り比べてみました。 (^-^)v
↑ 毎度お馴染み、ダイノパック式のシャーシダイナモ。
( 最近はダイナパックと呼ぶほうが一般的かな (^^ゞ )
直接、クルマの車軸に計測器を連結して測るため、非常に正確なデータが取れます。
■ 計測結果
1回目の計測 ( グラフの赤い線 ) : オイルは、MOTUL 10w-40
→ 計測結果 最高出力 347.6 馬力 トルク 46.3 kg/m
ZERO/SPORTS 製の 「 ツインスクロールハイパフォーマンスタービン 」 に載せ換えて
ECU セッティングを行った時は MAX ブーストを 1.25 にセットしていましたが、
普段はそれよりやや低めの 1.20 にセットして安全マージンを取っていますので
「 350馬力ぐらいかな? 」 と思っていましたが、だいたい予想通りの結果です。
2回目の計測 ( グラフの緑色の線 ) : オイルは、ZERO/SPORTS 「 OT2 」 10w-50
→ 計測結果 最高出力 356.8 馬力 トルク 42.0 kg/m
オイル交換を行って、エンジンを回した時の感触がガラリと変わりましたね!
ブーストコントロールを行っている AVC−R の自己学習機能が追いつかないぐらいです。
自己学習機能が追いつけないぐらいの変化のため、ブーストのかかりが初期段階で
若干もたついてしまったために、グラフは高回転側にシフトしてしまっていますが、
この状態で約10馬力のアップ は驚きモノですね!!
トルクはブーストがもたついた分、少なくなっていますが、それでも 42 kg/m なので
まずまずの結果と言えます。
AVC−R の自己学習は、状態が激変したあとに 2〜3 回フルブーストさせてやれば
自動的に補正されて適切なブースト状態になりますので、このまま3回目に突入です!
3回目の計測 ( グラフの青い線 ) : オイルは、ZERO/SPORTS 「 OT2 」 10w-50
→ 計測結果 最高出力 354.2 馬力 トルク 46.0 kg/m
AVC−R が自己学習したようで、パワーカーブが良い状態へと変化しましたね。
パワーは 約 7 馬力のアップです!!
正直言って、これほどハッキリと効果が出るとは思っていませんでした(笑)!!
特に、オイルの密封性能が優れているようで、高回転時でもその油膜を確実にキープし
高回転域ではパワーもトルクも以前のオイルの時よりも高い数値になっています。
それと、グラフの線が以前より滑らかになっていますので、パワーに安定感が出たようです。
粘度が高いにも関わらず滑らかに回ると言う理想的な性質をもったオイルだと言えます。
これがパワーアップに大きく貢献しているようです!
もう少し回して AVC−R の自己学習を進めてやれば、トルクのほうも今よりはもっと
向上して来ると思いますが、これ以上回すと水温も油温もどんどん上昇してしまうので、
同じ条件での計測にならなくなってしまいますから、とりあえず今回の計測はここまでにして
このあとは実走行に移って、どんなフィーリングなのか試してみることにします。
▼ 実走行でのフィーリング
パワー計測では、アクセルをベタ踏みして行われるため、終始ブーストがかかった状態での
計測になりますので、日常的に使うブーストがかかっていない時の状態などはパワー計測の
グラフには現れて来ません。
例えば、街中を4〜5速で 2000回転以下ぐらいで走らせている状態などは、パワー計測では
完全に範囲外ですからね。
さて、実際に走らせたフィーリングですが、この2000回転以下の回転域でも、非常にスムーズに
エンジンが回ると言いますか、低回転域で全くターボの過給がかかっていない状態でも、トルク感が
ハッキリと増したように感じます。
そのまま踏み込んで一気に上まで回してやると、粘度の高いオイルであるにも関わらず、
重さのない鋭いパワー感と、パワー計測グラフにも現れているような安定感が感じられます。
雰囲気的には 「 滑らかに伸びるパワー感 」 とでも言いますか、とても気持ちよく回りますね。
▼ 燃費やライフサイクルについて
正式に測ったワケではないので、あくまでも雰囲気的な話なのですが、走りがとてもスムーズに感じ
いつもよりアクセルを押さえ気味でも調子良く走れる気がしますので、おそらく少なくてもその分は
燃費は向上するんじゃないかなと思います。(^^ゞポリポリ
もちろん私の GDB−D 型の場合、ECU チューンやタービン交換をしてパワーを上げている分、
燃費は当然の事ながら良くないですし、アクセルの踏み方、ブーストのかけ具合で極端に燃費が
変わってしまうので、あまり参考にはならないと思いますが、スムーズに感じる分を上手く使って
アクセルを控えめに走れば燃費も良い数値が出るように思います。
あと気になると言えばオイル自体のライフサイクルかな。
クルマ自体が高性能ターボ車両だからメンテナンスに気を配るのは当然なので
「 オイルはいつも早めに交換してるよ 」
って人が多いと思いますが、それでも劣化に強いほうが良いに決まっていますからね(笑)
それとインプレッサは水平対向エンジンゆえに、オイルがエンジンのシリンダー内で燃焼しやいので
気が付きにくいレベルで徐々に燃えると、いつのまにかオイルが少なくなっている事がありますよね。
特に燃費向上やフリクションロスを抑える事が目的で柔らかい粘度のオイルを入れている場合は
定期的に継ぎ足さないと適切な量を保てない事もあるようです。
このように、燃費向上やロス軽減を狙えば柔らかな潤滑性能が不可欠ですが、オイル減りの防止や
ターボの高温度に対する耐久性、そしてアグレシップな走行に対応させるには、逆に柔らかすぎない
適度な粘度が必要と言われています。
つまり、劣化や減りに強い粘度と、ロスが少なくて燃費向上する潤滑性、エンジンの性能を助ける
密封性・冷却性・応力分散性能・洗浄性能など、オイルには様々な性能が求められるワケですね。
これらの多面的要求を満たすために開発された 「 OT2 」 ですから、燃費やライフサイクルも
非常に期待が持てると言っても過言ではないでしょう。
無論、これらの性能についてはある程度の長期テストを繰り返し行わないと何とも言えないのが
正直なところですが、それでも今回のテストを通じ、確かな手応えを得たのも事実ですからね!
このオイルはパワーアップはもちろんのこと、上手く使えば燃費アップやライフサイクルも伸ばす
ことが充分に可能だと思います。
なお、この製品に関しましては、今後もこのまま長期テストを行って燃費やオイルの耐久性など
徐々にデータを取って行きますので、正確なデータが取れ次第、公開して行きたいと思います。
また、製品化するなどの動きがあった時に、追ってまたレポートしたいと思います。
ホント、早く製品化されるとイイですよね〜
※ このオイルが気になる人へ…
とりあえず、実物が見たいと言う人は、2004年 11月13日 〜 14日に行われる
スーパーオートバックス熊谷店のスバルフェアー に来られてはいかがでしょうか?
私も当日は熊谷店に行ってますので、興味のある人は是非お越し下さ〜い (^-^)ノ
※ このスバルフェアーに来られた方々の中から抽選行い、
このオイルの無料モニタープレゼントを行いました。 → ご当選者の試用レポートはこちら
■ 発売開始時期情報
発売開始時期と、価格が決定したようです。
詳しくは こちらのページ を参照願います。m(_ _)m
■ このページで紹介した製品のお問い合わせ先
ZERO/SPORTS 新開発エンジンオイル 「 OT2 」 → ZERO/SPORTS のホームページ
※ 「 OT2 」 は開発コードネームです。 製品名は 「 ZERO SP 」 です。
※ このレポートは開発途中での評価です。発売時の製品とは多少異なる部分が出てくる場合が
あるかも知れません。あらかじめご理解のほど願います。
■ パワー計測ならびに記事作成協力
→ スーパーオートバックス 熊谷店のホームページ
★ 私がいつもお世話になっている熊谷店です! 当サイトの超お奨めイチオシのショップ。
チューンに対する知識、技術力など、量販店のレベルを遥かに超えています。
※ 記事掲載日 : 2004/11/04 ( 最終更新 2005/05/30 )
|