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ピストン棚落ちについて
 
チューニング : エンジン系のお話し
 

ピストン棚落ちについて

 
EJ エンジンのチューニングで必ず話しが出るのが 「 ピストンの棚落ち 」 です。

GR/GV 系になってから、カタログスペックは 300馬力オーバーになりましたが、この頃からピストン棚落ちに関するお話しがネット上でもよく見かけるようになりましたよね。

棚落ちとは、ピストン上部の外周付近が異常燃焼やパワーに負けて欠損してしまう状態の事です。
ピストンを横から見た時、上部にあるピストンリングの入る溝が棚のような形で、ここが崩れてしまう状態が 棚が落ちてしまうように見える事から棚落ちと呼ばれています。

今回は、このピストン棚落ちについてのホントのところを解説しましょう。



GRB のアプライドモデル A 型は、ピストン形状が異なり棚落ちしやすいと言われています。
B 型以降では改善されて棚落ちしにくくなったと言われていますが、やはりチューニング度合いが高まって来たり きちんとしたセッティングがされてない状態だと棚落ちしてしまいます。
セダンタイプの GVB、AT車の GRF/GVF も同様です。
これは、現行の VAB でも変わりません。


…で、棚落ちするとどうなるか?
これが実際、とても気付きにくいんです。
ピストンがひとつ棚落ちし始めても、異音もなく普通に走って普通にブーストもかかってパワーもある。
ただちょっと、「 いつもよりパワーが足りない? いや、普段通り? 」 といった微妙な感じで判りにくいです。
この段階ではエンジンをバラすか、シリンダー内の圧縮計測でもしない限り、まず判りません。
( 圧縮計測はプラグを外して行うため、プラグを外すのが困難な EJ では、簡単に出来ない )

症状が進み、完全にピストンが崩れると異音が出たりしますが、それまでは殆ど判らないと言えます。


では、棚落ちさせないためには、どうすれば良いのか?
まずは、パワーを求めるならば、しっかりとセッティングする事。
少なくとも、フラッシュエディター等を使って、チューニング用データに書き換える事が重要です。

ノーマル ECU のまま、マフラー交換・メタキャタの取付、社外エアクリの交換などを行っていくと 燃調が合わずエンジンを傷める ( 棚落ちを引き起こす ) 原因になったりします。
パーツ交換したら、ECU チューニングも必ず行うようにしましょう。

それと、ブースト管理。
社外のブーストコントローラーを使用して、高ブーストにさせない事です。
ECU チューニングをしたり、性能の良い社外ブーストコントローラーを使えば、今までよりも低いブーストで 今までよりもパワーが出せるようになりますので、少し低めで安全に配慮したチューニングがお薦めです。

無論、熱対策も重要です。
パワーが上がれば発生する熱量も大幅に増えるので、確実な冷却が求められます。
エアロボンネットやダクト付きフェンダーの導入でボンネット内の通気を改善し、大容量ラジエターやオイルクーラーの装備がお薦めです。

あとはやっぱり、エンジン内部に改造を加える事。
これが一番確実です。
2.2リッター化など、高強度のピストンを使った改造が最大の防衛策と言えるでしょう。




備考

記事掲載日 : 2018/09/05